H30千葉前期試験(理科)

2018/02/15 投稿

今後の指標に理科を振り返っておきたい。

 

昨年の傾向を継いで、問題のレベル自体はかなり落ち着いている。

ひねりもほぼなく、ストレートに答えを出せるものばかりだ。

難しい問題でも、誘導やヒントはでており、まったく手を出せない問題はない。

それでも要所は突いているいる感じで、そこまで平均は一気にはあがらない印象。

【記述-用語】電磁誘導、全反射、組織、食物網

用語は昨年に続き、非常に平易なもの。

ただ、若干『組織』は抜けている生徒はいそうなのと

「つながり」に反応して『食物連鎖』と書いてしまう生徒はどうしてもいるだろう(そのための伏線として「1対1の食物連鎖というつながりでなく」と本文にはある丁寧なつくり)。

【記述-文章】溶岩のねばりけ、食物連鎖

ねばりけに着目できるか

肉食動物と植物の両方の変化について述べられるか

ではあるが、受験生にとって理解が難しいところではないので、難易度は低い。

【計算】再結晶、実際の水蒸気量

蒸発させてからの再結晶は上位の生徒でもなかなか解きにくい問題ではあるのだが

今回は丁寧に導入があったので、解きやすかったとは思う。

それでも2ステップの計算になるので、ここに苦手意識のある生徒はどうしても解けない。

少数の計算も挿み、正答率は低くなる。

対して、水蒸気量に関しては、オーソドックスなしかも「1ステップ」のものなので正答率は上がる。

計算ミスはしないように注意したい。

【作図】力の分解

今年も力の分解

オーソドックス、かつ方眼が合わせてあるので、間違えようがない。

今回はグラフの作図もなく、記述部分が減っていることになるので、それだけでも点数がとりやすくなったと言える。

 

【1】小問集合

個人的には「液状化」が有難かった。

もともと間違えようがない問題ではあるのですが、前日押さえた用語が2問目で出れば、精神的にかなり楽になります。

この中では(1)が正解率が落ちるだろう。

雌花→1年前の雌花→2年前の雌花=まつかさ

と下にいくほど古い流れが理解できていれば、雄花の位置も把握できるのだが

中1以来(もしくはそのときも)、触れてもいない生徒もいただろう。

 

【2】レンズと光

これも押さえてよかったパターン

(1)入射角(反射角)の位置を勘違いしたままの生徒はどうしてもいる(垂線基準!)。簡単でも少し正答率が下がる。

(2)これもレンズから空気に出る光の入射角と屈折角の関係(光の気持ちになれ!気持ちが大きくなりますw)。

ただ、意味あり気な15°の反射光が絶妙で、これがあるのでアが選びたくなるのが不思議。生徒心理をついた、いい問題。この大問では一番正答率は低くなる。

 

【3】生物と細胞

(1)まったく難しい問題ではないのだが、正答数が与えられていないのと、問題文のオオカナダモの存在が絶妙。

普通に「多くの細胞からできている生物」で考えたら間違えようがないのだが、結構な数で釣られた受験生がいそう。

(3)染色液で染まる=核=動植物共通

で非常に簡単ではあるのだが、選択肢の作り方がうまい。

(4)これは間違えようがない

 

【4】火山と噴火

さらに押さえてよかったパターン

(1)「有毒」のキーワードでほぼ不正解はなさそう

(2)マウナロア・キラウエア(ハワイ系)=傾斜のゆるい山(盾状)=黒っぽい溶岩

は意外につながっている生徒は多いだろう。

(4)火砕流=高速はイメージできる生徒がほとんどだと思うが

流れるイメージで溶岩を選んでしまう生徒は結構いそう。

 

【5】溶解度

(1)難しくはないが、溶解度の読み取りが苦手な生徒はいる。拾わなければならない情報も散って(3種類)いるので、やや正答率が下がる。

(2)これば間違えようがない。ガラス棒の向きまで入れば別だが。

 

【6】自然界のつながり

(1)間違えようがない

(2)意外に選択肢が絶妙

落ち葉などを分解する過程での「分解者」ミミズ・シデムシ・ダンゴムシ

自然界のつながりにおける「分解者」カビなどの菌類、乳酸菌などの細菌類

これが同列で出てくることがあまりないので、(しかもなかなか頭に残りにくいシデムシ)なんとなく、3者が地中(地表)でつながるイを選びたくなりそう。

 

 【7】ばねと力のつり合い

これが難問と良問および易問とバランスを兼ね備えた大問

トップ校ではここをいかに落とさないかが勝負の分かれ目だろう。

(1)どうしても「等しい」が使えず「同じ」(定期テストでは○になってしまうこともあり)という表現で(小学校以来)ここまできてしまった生徒が文脈で困る問題。「等しい」で言い切ってしまう生徒もいるか。

(2)100gという重さの設定もニクい。簡単に個数=Nに置き換えられてしまうので、そのまま表に意識がいき、長さ→伸びに変えることに目を奪われて、動滑車である設定を抜かしてしまう生徒が多かったと予測できる。難易度は決して高くないが、意外に正答率が低くなりそうな良問。

(3b)これも難易度的には決して高くないのだが、比の考え方は使えない生徒が多いのと

力[N]×高さ/斜面の知識は意外に使われる場面がなかったので(特に定期テストでは突っ込まれない場合が多い→たいていは斜面が倍だから力は半分、程度)、何をしていいか分からなかった生徒は多かったと思う。さらに台車の重さを最後に抜かなければならないので、トップ校以外では軒並み全滅レベルか。

[解法]考え方=斜面での伸び方が同じ(重力に対して小さくなっている)ということは、重力の方向の分力が左右で同じであるということ→力×高さ/斜面をして重力方向の力に置き換える

左側のばねにかかる重さをA[N]とすると、A×高さ/斜面=A×1.5/3.0=1/2A

右側のばねにかかる重さをB[N]とすると、B×高さ/斜面=B×1.5/2.5=3/5B

これが等しければいいので等式で結び、10倍すると、5A=6B

最小で等しくなればいいので、A=6、B=5となる

最後におもりの2N分を引くので、aのばねには4個、bのばねには3個

乗せればつりあう。

 

【8】気体の発生、電池

(1)気体の発生の仕方は前日確認したが、逆に言うとそれだけ苦手な意識のある生徒は覚えられないということ。

塩酸に金属→水素、それ以外→二酸化炭素

どれだけ口を酸っぱく言っても間違える生徒はいる

(2)携帯はさすがに中学生でも身近になり、リチウム電池はほぼ分かるであろう。

苦肉の策の「充電できる」を先にもってきて、ひっかかる生徒は出るだろう。

充電できない電池が先で、できるような電池が後

と思考を整理できれば間違えようがないが。

用語の問題にしたら、かなり正答率は下がる問題ではある。

(3)モデルあっての化学反応式だったのもあり、反応式の中では一番と言っていい、書けるはずの水の化合式なので、正答率はかなり高いだろう。

 

【9】天気と水蒸気、熱の伝わり方

(1) これは意外というか、マイナー天気図記号を突っ込む入試問題はあまりお目にかかったことがない。

そして、●がバランス的に小さいのがズルい。見た目でバツにした生徒もいたのではないか。

「●=雨」が空気中に浮いている=霧が連想(想像)できれば正解はできるのだが。

○△でウの「あられ」は知識問題で出たらほぼ全滅だろう、連想の余地のある霧だから許容範囲。

正答率は当然低めか。

(2)①熱の伝わり方3パターンは何となく覚えきらない生徒がいる。

 ②こちらはかなりの正答率になるだろう。

 

上位校ではかなり得点の出しやすかった問題ではなかっただろうか。

これは明らかな昨年からの傾向であるが、計算も、用語も、作図も全て難易度は下がっている。

思考系の入り口と出口がストレートにつながらない問題は皆無である。

簡単に感じた生徒も多かったとは思う。

ただ、落とす要素は多分に織り込まれているので、昨年の後期ほどまで高くなる印象はなく、昨年前期と同程度

55点近辺になりそう。