今回の入試の特徴としては、用語の記述が非常に多かったこと。
合計で35点分、1/3以上が記述だったことになります。
いつもどおり簡単なものばかりではありましたが、平均点を多少抑えることにはなるかもしれません。
【記述-用語】深成岩、生産者、飽和水蒸気量、水素イオン・水酸化物イオン・水、NaCl、比例・フック、対立形質、地球型惑星
3年分野はいずれも他学年よりは正答率は下がりそう。
特に中3生物範囲の「対立形質」は反射的に「優性(劣性)形質」と答える生徒が続出するだろう。
「どちらか一方しか現れない」形質という意味がそもそも理解できていない生徒は多い。
今回の色で言えば、赤か白の2択で、赤白やピンクなどはなく、必ずどちらかになる(赤と白が相対している)
そういった形質を指します。
その上で、赤と白を掛け合わせると必ず赤になる→赤色は白色に対して「優性形質」である。
となります。
これに加えて「分離の法則」も要注意。
次に中3科学分野、イオン名をイオン式、化学式を物質名で書いてしまう生徒は必ず出てきます。
答えを書いたら、問題に戻って「イオン名」「化学式」、ここに丸をつけて確認する習慣をつけましょう。
酸性=水素イオン、アルカリ性=水酸化物イオン、中和=水素イオン+水酸化物イオン→水ができる反応
どうしても覚えない生徒が残る分野です。
【記述-文章】おもりに働く力、減数分裂
減数分裂に関しては用語をそのまま書く直接的なものなので、非常に簡単。
ただ、合力の説明に関しては非常に難易度が高い。
入口が「合力の大きさ」であり、出口が「等しい」であるので
問題の意図を解せず、勝手につり合いの関係を書こうとする生徒が多かったと推測できる。
どちらも『おもりは水中に』あり、深さに影響を受けない「おもりにはたらく力」は「重力」と「浮力」しかない。
ちなみに「重力と浮力の合力」は「ばねが引く力」と「つり合って」おり、「重力と浮力の合力」が変わらないので、「ばねが引く力」も変わらず=「ばねの伸びは変わらない」。
上位校を受ける生徒でもやらかす率は高い問題と言える。
【計算】抵抗、定比例の法則(残量)
2年前のグラフの作図で、正答率が激減すると書いた、作図のパターンと溶ける最大量の計算。
理解しないでやり方でこなしているとこういう問題で止まる。
発生の最大量(1.6)=溶ける最大量(x)
それだけである。
最大量に達するまでは比例の関係なのだから
発生量:溶ける量=0.5:1.0(どこでもよい)=1.6:x
x=3.2となるので、残り=6-3.2=2.8
となる。
上位校では必須の問題だが、正答率は相当下がる。
抵抗に関してはグラフから電圧(4V)と電流(0.1A)を読み取りオームの法則を使うだけなので、間違えてはならない。
【作図】抵抗の記入、グラフの記入(気体の発生量)
これはどちらも難しい。
特に抵抗のブラックボックスは経験していないと、何をしていいのかすら分からない生徒が多かっただろう。
ここのところ、全国の過去問では見た記憶がないのだが、うちが冬期で使用している正進社の「重点の完成」には載っている問題。
4点を結べる対角線は6本
そのうち、PQ、QR、QSは電流が流れていないので、×(抵抗はつなげない=空白)
残りの候補はPR、PS、RSで
あとは電流を抵抗に直す(電圧は3V)とRS=10Ω、PS=20Ω、PR=30Ωとなる。
ポイントはRSとPSにつなげば、PRには抵抗を挟まなくても、電源につなぐとRS(10Ω)+PS(20Ω)の直列つなぎ(30Ω)になること。
グラフに関しては先に記述したとおり、正答率がグンと下がるパターン。
どうしても炭酸水素ナトリウムの量が3.0と4.0のところをつなぎたくなる生徒がいる(2度折れるグラフ)。
あくまで炭酸水素ナトリウムの量と発生した気体の質量の関係は「比例」(原点を通る直線)であり、発生が途中で止まる(x軸に対して並行になる)だけなので、この場合は横の平行線を先に書き、そこに比例の直線をぶつける(1回だけ折れる)ようにして書く。
【1】小問集合
いずれも基本的で親切な問いのつくりなので、落としてはいけない。
(2)は火山岩と火成岩の関係を間違える生徒はいるのだが、ゆっくり冷える=深成岩は問題なくクリアできるだろう。
(3)はこの中では(忘れていて)正答率はいちばん落ちそうだが、オレンジ色→青(空気が足りない)、空気→上のねじはさすがに覚えているだろう。閉じる⇔閉めるの選択肢がめずらしいパターンなので、逆にここでひっかかる生徒がいそう。
【2】雲のでき方
いずれも基本的な問題。
グラフは初見でも、ただ、読み取るだけの問題になっているので、落ち着いて取り組めば間違えようもない。
若干(4)が正答率が落ちるだろうが、気圧が下がる=上昇気流であり、明らかに空気の流れに触れていない(温度変化によるもの)ものが正解なので、ひっかけを意図していない親切な問題。
【3】電流と電圧、抵抗
この分野を苦手のままにしている生徒は多く、問題のバランスからも得点率は最も悪そう(あとは【7】)。
(2)は図の3(直列)の電流の関係(等しい)、図の4(並列)の電流の関係(和→電源の方が大きい)だけの問題なのだが、等号、不等号が並んでいるだけであせる生徒はいる。
【4】中和
(1)「軽い」ではなく「密度が小さい」での表記だが、塩酸+金属→水素を含め、さすがに間違えようがない。
(2)緑=中和はさすがに分かるので、これはとらせるための問題。
やはりポイントは聞かれているものをしっかり確認すること。落としてはいけない大問。
【5】植物のはたらき
(1)~(3)は基本事項なので、ここは落としてはいけない。
(4)の対照実験の問題は、今回の文章内容の正誤でも、実験の組み合わせを選ぶ問題でも、どうしても正答率が落ちるパターン。
アにつられる生徒は多そうで、結構正答率は下がりそう。
対照実験は調べたいもの以外の条件をそろえる、が前提なので
今回は「植物+息を吹き込んだ」袋と「息だけを吹き込んだ」袋→「植物があるorない」
「植物+息を吹き込んだ」袋→変化する
「息だけを吹き込んだ」袋→変化しない
ことから、今回の実験の影響が「植物のはたらきによるもの」であることを調べる実験。
つまり「息だけを吹き込んだ」袋の役割は変化しないこと→ポリエチレンの袋からの気体の出入りで変化していない
ことを確認するため。
【6】ばねの伸びと浮力
(1)bはグラフから足して5になる数値を読み取るだけなので簡単。小数どうしを考慮に入れなければならないなら正答率も下がるが、ばねAが整数での伸びしかないので、選択問題よりは落ちる可能性がある、程度だろう。
(2)aは矢印の本数が見慣れた図より少ない(下からの矢印が妙に長く見える)ので、意外にウを選んでしまう生徒がいるかもしれないが、間違えてはならない問題。
【7】質量保存、定比例の法則
グラフ、計算はまだしも、用語と選択は本当に基本的なもので間違えようがない。
【8】遺伝の法則
用語以外は記述も含め、基本的な問題で、ワーク、定期テストでも経験済だろう。
落としてはいけない問題。
【9】金星の見え方
難問は無いが、いずれも正答率が他の基本問題よりは正答率が落ちそう。
「対立形質」を除いた用語の中では「地球型惑星」を覚えていない生徒はままいそう。
次に正答率が落ちそうなのが、(2)
見慣れた金星の見え方の図とは上下反対になっているのがミソで、これだけで難しく感じる生徒はどうしてもいる。
地球から見て左側の金星(今回)→宵の明星=夕方の西の空(沈む方角)
地球から見て右側の金星→明けの明星=明け方の東の空(昇ってくる方角)
太陽の位置から時間の関係が把握できていると簡単
次に(3)
今回はウが用意されているのがポイントで、見え方を図の関係で理解していないと難しい。
①地球と金星の中心を直線で結ぶ
②①の直線に対して垂直な、金星の中心を通る線で金星を切る
③地球側の半分が見える面(を上から見ている)で、光と影の割合を見る
太陽=地球=金星がつくる角度が45°になるときがウなのだが、今回の金星はそれよりも前(公転の向きの逆)なので、イに見える。
近づくと→欠ける(大きく見える)
遠ざかると→満ちる(小さく見える)
(4)はできない生徒が多発しそう。
公転周期は短い(数字が小さい)ほど=早く進む=1か月に進む角度は大きくなる
反比例の関係に気づけばよい(比を逆にとる)。
0.62:1=30°:x
実際は公転周期は0.62倍なので365日×0.62=226.3
1日に進む角度を計算し、30日なので30倍する
360°÷226.3×30=47.7°
現在、90°離れていて
金星は1か月で48°近づくのだが、地球は30°逃げる=1か月で48-30=18°近づく
90÷18=5
5か月で追いつく計算になる。
全体的なバランスとしては昨年前期と似ていて、違いは簡単な問題が非常にストレートでより簡単。
しかも、ものすごく難しい、という問題がある訳ではないので、おそらく多くの生徒が簡単、と感じただろう問題構成。
それだけで言うと平均は昨年前期(60.0点)より上がりそうだが。。。
ただ、間違える要素は昨年より増えていて、しかも簡単とは言え記述が多いので、そのぶん平均点に影響しそう。
手計算で61点になったのだが、ギリギリ60点を割るくらいになりそうな気がする。59点と予想。